書籍 「北海道電力<泊原発>の問題は何か」の紹介ともくじ

泊原発廃炉の第二次訴訟記念講演会のあった、2012年11月17日に出版された「北海道電力<泊原発>の問題は何か」という本のもくじを紹介します。泊原子力発電所がかかえる問題点を各視点から網羅しており、訴訟をたたかっていくうえでの私達のバイブル的な位置づけになると思います。泊原発の廃炉をめざす会十勝連絡会でも取り扱っています。お問い合わせください。

「北海道電力の問題は何か」

泊原発の廃炉をめざす会編 寿郎社 本体1,600円+税

はじめに

 

第1章 日本を変えるステージの始まり・・・市川守弘

北電からの「お願い」と「お知らせ」/電気の必要量は私たちが決めること/絶対的安全性は嘘だった/相対的安全性というごまかし/政・産・官・学のカルテット/泊原発の廃炉を求める訴訟、そして国民的大運動/裁判所は信用できるのか

【原発と向き合う—それぞれの現場から1】
泊原発をなくす希望の鐘 斉藤武一

第2章 倫理から見た原発・・・常田益代

「安心して暮らせる国」/フクシマを風化させないために/なぜ地震大国日本に原発なのか?/増えつづける使用済み核燃料/被曝と子どもの人権/不可逆性の原発事故/もし泊原発で事故が起きたら/フクシマ原発事故を教訓としたドイツの決断/国民の安全より原発再稼働ありきの日本/「軽視、傲慢、無責任、不義」/市民は黙っていない/ありえない原発の安全確認/原発のコスト/グッドバイ原発/集中独占型から地域分散型発電へ/未来への贈り物を残そう

【原発と向き合う—それぞれの現場から2】
命を守り育む農業を守る 村上順一

第3章 泊原発に迫る地震と津波の危険・・・小野有五

福島第一原発より危険かもしれない泊原発

1 大地震はなぜ起きる—地球上のプレート運動とマントル対流

東西に移動している太平洋プレート/世界の主な地震はすべてプレート境界で起きている/世界の原発のほとんどは安定大陸の上にある/日本列島は四つのプレートのぶつかる場所にある/太平洋プレートの沈み込みと巨大地震/日本海側のプレート境界/新生プレート境界?/「新生プレート境界」の複雑な動き/ゆるやかに沈み込むユーラシア・プレート/アムール・プレートとオホーツク・プレート

2 海底の活断層が警告する大地震と巨大津波

鯨になって海底を見ると/ヒグマのいない奥尻島/※コラム1気候変化と海面変化/奥尻海盆と後志トラフ/奥尻海嶺、後志トラフ、奥尻海盆の成因/南西沖地震を起こした活断層/「リバウンド地震」が起きる?/都合の悪い活断層を認めようとしない電力会社/表層しか見ない地質学、全体を見る変動地形学/海底の活断層をどう見るか?/原発に最も近い活断層/後志トラフ西縁断層と連動地震/※コラム2都合の悪い計算結果は公表しない電力会社

3 奥尻島と南西沖地震

ふしぎな島、奥尻島/※コラム3ベンチとノッチ/奥尻島は傾きながら隆起した!/歴史が教えてくれる地震性隆起のすごさ/※コラム4S面(M1面)/大地震で地盤が沈下することもある/くりかえし起きていた奥尻の地震と津波/四つの津波堆積物/なぜ津波は証拠を残しにくいか/泊原発周辺に津波堆積物はあるか/地震性隆起を示す泊原発周辺の地形/そもそも地盤隆起の想定をしていな泊原発/※コラム5疑問だらけの地震動と原発の耐震性

【原発と向き合う—それぞれの現場から3】
雑木林の暮らしから 清水晶子

第4章 泊原発は構造的にどこが危険なのか・・・齋藤健太郎・林千賀子

1 原子力発電のしくみと基本構造

核分裂反応と放射性物質/極めて重要な役割を持つ水/加圧水型と沸騰水型の原子炉/加圧水型と基本構造の欠点/過去における海外での重大事故

2 原子力発電所における重大事故—冷却材喪失事故

冷却材喪失事故とは/経年劣化で生じる「応力腐食割れ」/困難な保守・点検での「応力腐食割れ」発見/多発する蒸気発生器の損傷事故/過去の重大な蒸気発生器事故/放射性物質が漏れ出す再生熱交換器事故/ECCS作動の保障のない冷却材喪失事故

3 原子力発電所における重大事故—原子炉の破壊

大惨事につながりかねない脆性破壊/泊原発でも脆性破壊の危険性が/加圧熱衝撃(PTS)による破壊の可能性

4 安全性を確保できない検査体制

欠陥の大きさと対応してない欠陥信号/後追い的処置では事故は防げない

5 待ち受けるさらなる危険—三号機プルサーマル計画

増え続ける猛毒物質プルトニウム/人間の力では制御不能な原発

【原発と向き合う—それぞれの現場から4】
地域のエネルギーで地域が潤うしくみへ 宮内泰介

第5章 フクシマで起きたことが泊で起こったら・・・難波徹基

1 福島原発事故の被害の大きさ

対岸の火事ではない福島の事故/チェルノブイリと並ぶ史上最悪の原発事故/人体細胞を破壊する放射性物質/関東、東北にも拡散した放射性物質/気象条件に左右された拡散地域/地域社会を崩壊させた原発事故/生まれ故郷を追われた住民たち/個人の尊厳を失う危機に直面/自主的避難者の苦悩、残る住民の苦悩/低線量被曝による健康被害の危険/後を絶たない農作物からの放射能検出/産業活動全般に深刻な被害

2 泊原発の重大事故で想定される被害

西風で被害受ける札幌圏/原発事故で崩れる「北海道ブランド」

【原発と向き合う—それぞれの現場から5】
被災者と共につくる街 みかみめぐる

第6章 原発なしでも北海道はやっていける・・・菅澤紀生

1 冬も原発なしで乗り切れる北海道の電力供給

北電の電源設備–泊原発は約28パーセント/供給予備力と過去の最大需要/3・11以降の泊原発の稼働状況/2011年冬の予測と実績–1・2号機停止、3号機稼働/2012年夏の予測と現実–全停止/2012-13年の冬も電力は足りている/北本ケーブルを計算外にする北電/こんなにある北海道の再生可能エネルギー

2 そもそも泊原発三号機はいらなかった

道議会で三号機の何が議論されたか/伸び率・年平均2パーセントという過大な見積もり/三号機を容認した堀知事/※コラム1「道民のご意見を聴く会」での「やらせ」問題/泊三号機の虚構

3 これからのエネルギーについて考える

「代替エネルギーが必要」という間違った主張/ドイツのエネルギー戦略/エネルギーの効率化をめざすドイツ/※コラム2海水温度を上昇させる原発の廃熱/熱を捨てずに利用するコジェネレーション/総合的に進めるドイツのエネルギー政策/スペインでの再生可能エネルギー発電/スペインにおける発電と送電の実態は/エネルギーを効率化しやすい北海道/再生可能エネルギー基地北海道/再生可能エネルギー100パーセントの村/エネルギーの地産地消で地域循環型経済に

【原発と向き合う—それぞれの現場から6】
故郷を奪われる苦しみ 宍戸隆子

第7章 司法は福島事故に重い責任がある・・・海渡雄一

国や東電からの情報が一切なかった地元/多発する災害関連死/人格権を根拠にした民事訴訟/原発の潜在的危険性を指摘した最高裁判決/安全審査の欠落認めたもんじゅ高裁判決/旧耐震設計審査指針の不合理認めた志賀原発訴訟/耐震性の再確認中だった浜岡原発/浜岡原発が抱える問題点/静岡地裁が犯した誤り/国の判断を追認するばかりの最高裁/保安院指示に屈した原子力安全委員会/旧指針の安全基準を追認した静岡地裁/保安院と東電を断じた国会事故調/稼働直前の原発を廃炉にしたドイツ/原発のない社会の実現をめざして

【原発と向き合う—それぞれの現場から7】
全国に広がる北海道発「市民風力発電」 鈴木亨

おわりに

引用・参考文献