「北海道電力の問題は何か」
泊原発の廃炉をめざす会編 寿郎社 本体1,600円+税
はじめに
第1章 日本を変えるステージの始まり・・・市川守弘
北電からの「お願い」と「お知らせ」/電気の必要量は私たちが決めること/絶対的安全性は嘘だった/相対的安全性というごまかし/政・産・官・学のカルテット/泊原発の廃炉を求める訴訟、そして国民的大運動/裁判所は信用できるのか
泊原発をなくす希望の鐘 斉藤武一
第2章 倫理から見た原発・・・常田益代
「安心して暮らせる国」/フクシマを風化させないために/なぜ地震大国日本に原発なのか?/増えつづける使用済み核燃料/被曝と子どもの人権/不可逆性の原発事故/もし泊原発で事故が起きたら/フクシマ原発事故を教訓としたドイツの決断/国民の安全より原発再稼働ありきの日本/「軽視、傲慢、無責任、不義」/市民は黙っていない/ありえない原発の安全確認/原発のコスト/グッドバイ原発/集中独占型から地域分散型発電へ/未来への贈り物を残そう
命を守り育む農業を守る 村上順一
第3章 泊原発に迫る地震と津波の危険・・・小野有五
福島第一原発より危険かもしれない泊原発
1 大地震はなぜ起きる—地球上のプレート運動とマントル対流
東西に移動している太平洋プレート/世界の主な地震はすべてプレート境界で起きている/世界の原発のほとんどは安定大陸の上にある/日本列島は四つのプレートのぶつかる場所にある/太平洋プレートの沈み込みと巨大地震/日本海側のプレート境界/新生プレート境界?/「新生プレート境界」の複雑な動き/ゆるやかに沈み込むユーラシア・プレート/アムール・プレートとオホーツク・プレート
2 海底の活断層が警告する大地震と巨大津波
鯨になって海底を見ると/ヒグマのいない奥尻島/※コラム1気候変化と海面変化/奥尻海盆と後志トラフ/奥尻海嶺、後志トラフ、奥尻海盆の成因/南西沖地震を起こした活断層/「リバウンド地震」が起きる?/都合の悪い活断層を認めようとしない電力会社/表層しか見ない地質学、全体を見る変動地形学/海底の活断層をどう見るか?/原発に最も近い活断層/後志トラフ西縁断層と連動地震/※コラム2都合の悪い計算結果は公表しない電力会社
3 奥尻島と南西沖地震
ふしぎな島、奥尻島/※コラム3ベンチとノッチ/奥尻島は傾きながら隆起した!/歴史が教えてくれる地震性隆起のすごさ/※コラム4S面(M1面)/大地震で地盤が沈下することもある/くりかえし起きていた奥尻の地震と津波/四つの津波堆積物/なぜ津波は証拠を残しにくいか/泊原発周辺に津波堆積物はあるか/地震性隆起を示す泊原発周辺の地形/そもそも地盤隆起の想定をしていな泊原発/※コラム5疑問だらけの地震動と原発の耐震性
雑木林の暮らしから 清水晶子
第4章 泊原発は構造的にどこが危険なのか・・・齋藤健太郎・林千賀子
1 原子力発電のしくみと基本構造
核分裂反応と放射性物質/極めて重要な役割を持つ水/加圧水型と沸騰水型の原子炉/加圧水型と基本構造の欠点/過去における海外での重大事故
2 原子力発電所における重大事故—冷却材喪失事故
冷却材喪失事故とは/経年劣化で生じる「応力腐食割れ」/困難な保守・点検での「応力腐食割れ」発見/多発する蒸気発生器の損傷事故/過去の重大な蒸気発生器事故/放射性物質が漏れ出す再生熱交換器事故/ECCS作動の保障のない冷却材喪失事故
3 原子力発電所における重大事故—原子炉の破壊
大惨事につながりかねない脆性破壊/泊原発でも脆性破壊の危険性が/加圧熱衝撃(PTS)による破壊の可能性
4 安全性を確保できない検査体制
欠陥の大きさと対応してない欠陥信号/後追い的処置では事故は防げない
5 待ち受けるさらなる危険—三号機プルサーマル計画
増え続ける猛毒物質プルトニウム/人間の力では制御不能な原発
地域のエネルギーで地域が潤うしくみへ 宮内泰介
第5章 フクシマで起きたことが泊で起こったら・・・難波徹基
1 福島原発事故の被害の大きさ
対岸の火事ではない福島の事故/チェルノブイリと並ぶ史上最悪の原発事故/人体細胞を破壊する放射性物質/関東、東北にも拡散した放射性物質/気象条件に左右された拡散地域/地域社会を崩壊させた原発事故/生まれ故郷を追われた住民たち/個人の尊厳を失う危機に直面/自主的避難者の苦悩、残る住民の苦悩/低線量被曝による健康被害の危険/後を絶たない農作物からの放射能検出/産業活動全般に深刻な被害
2 泊原発の重大事故で想定される被害
西風で被害受ける札幌圏/原発事故で崩れる「北海道ブランド」
被災者と共につくる街 みかみめぐる
第6章 原発なしでも北海道はやっていける・・・菅澤紀生
1 冬も原発なしで乗り切れる北海道の電力供給
北電の電源設備–泊原発は約28パーセント/供給予備力と過去の最大需要/3・11以降の泊原発の稼働状況/2011年冬の予測と実績–1・2号機停止、3号機稼働/2012年夏の予測と現実–全停止/2012-13年の冬も電力は足りている/北本ケーブルを計算外にする北電/こんなにある北海道の再生可能エネルギー
2 そもそも泊原発三号機はいらなかった
道議会で三号機の何が議論されたか/伸び率・年平均2パーセントという過大な見積もり/三号機を容認した堀知事/※コラム1「道民のご意見を聴く会」での「やらせ」問題/泊三号機の虚構
3 これからのエネルギーについて考える
「代替エネルギーが必要」という間違った主張/ドイツのエネルギー戦略/エネルギーの効率化をめざすドイツ/※コラム2海水温度を上昇させる原発の廃熱/熱を捨てずに利用するコジェネレーション/総合的に進めるドイツのエネルギー政策/スペインでの再生可能エネルギー発電/スペインにおける発電と送電の実態は/エネルギーを効率化しやすい北海道/再生可能エネルギー基地北海道/再生可能エネルギー100パーセントの村/エネルギーの地産地消で地域循環型経済に
故郷を奪われる苦しみ 宍戸隆子
第7章 司法は福島事故に重い責任がある・・・海渡雄一
国や東電からの情報が一切なかった地元/多発する災害関連死/人格権を根拠にした民事訴訟/原発の潜在的危険性を指摘した最高裁判決/安全審査の欠落認めたもんじゅ高裁判決/旧耐震設計審査指針の不合理認めた志賀原発訴訟/耐震性の再確認中だった浜岡原発/浜岡原発が抱える問題点/静岡地裁が犯した誤り/国の判断を追認するばかりの最高裁/保安院指示に屈した原子力安全委員会/旧指針の安全基準を追認した静岡地裁/保安院と東電を断じた国会事故調/稼働直前の原発を廃炉にしたドイツ/原発のない社会の実現をめざして
全国に広がる北海道発「市民風力発電」 鈴木亨
おわりに
引用・参考文献